今回は、私たちにとって膝関節リハビリのバイブルともいえる
『園部俊晴の臨床 膝関節』
についてご紹介します。
この本は、単なる教科書とは違い、「現場ですぐに使える知識」「患者さんに即効果を実感させる技術」がぎゅっと詰まっています。
特に理学療法士にオススメしたいポイントをまとめました!
まずは著者である園部俊晴先生について簡単にご紹介します。
園部先生は、理学療法士として「臨床の最前線」で膝関節治療を追求し続け、年間4000件以上の膝障害患者に対応する膝のスペシャリスト。
また、臨床研究にも力を入れており、科学的根拠に基づいた治療理論を展開していま
この本の魅力
【即実践】膝関節痛に対する“臨床推論”が学べる!
園部先生の最大の特徴は、「なぜその膝痛が起こったのか」を深く掘り下げる視点。
痛みの背景にある動作のクセ、筋・関節のバランス不良、全身からの影響を論理的に紐解いています。
「痛みの発生メカニズムを理解しないまま治療しても、根本解決にはならない」
― 本書より
→ただマッサージする、ストレッチするだけではない。
「なぜこの治療が必要か」が理論立てて理解できるため、臨床推論力が大幅にアップします。
【具体例が豊富】すぐに臨床で再現できるテクニック集!
単なる理論書ではなく、
- 関節モビライゼーション
- 筋膜リリース
- 動作指導(歩行・スクワット・立ち上がり)
など、すべて写真と手順付きで紹介されています。
「モビライゼーションはただ動かすのではない。『どこにどんな力を加えるか』が重要」
― 本書より
→施術手順が細かく書かれており、今日のリハビリから即実践可能。
【膝だけ見ない】“全身”視点から膝を診る大切さ
「膝だけを診ていては、痛みの本当の原因を見逃す」
これが園部先生のメッセージ。
特に、
- 足関節・股関節との連動
- 骨盤・脊柱のアライメント影響
- 体幹筋機能との関係
といった全身運動連鎖から膝を捉える視点は、非常に臨床に役立ちます。
→膝だけで完結しない! 全身を一つのシステムとして診る感覚が身に付きます。
目の前の膝の痛みが『なぜ起こっているか』がわかる
膝の痛みの原因は単純な「軟骨のすり減り」だけではありません。
荷重軸の乱れ、筋の協調性低下、関節包の滑走障害など、
「構造」と「機能」の両側面から痛みの本質に迫ります。
“触診”と”動作分析”で原因を特定する
園部先生が強調するのは「目で見て、手で感じる」こと。
独自の視点で関節の微細な動きのズレを読み取り、適切な徒手アプローチへと導きます。
エビデンスと臨床感覚の融合
「科学的根拠(エビデンス)」と「臨床推論(臨床感覚)」をバランスよく重視。
単なる理論ではなく、実際の患者に効く治療が詳細に解説されています。
特におすすめしたいポイント
- 荷重評価と膝関節のメカニクス(歩行・立位のわずかなズレを見抜く)
- 膝蓋下脂肪体・内側広筋へのアプローチ法
- 変形性膝関節症への超実践的リハビリ
- 術後膝(ACL再建術、人工膝関節置換術)へのケア方法
膝関節疾患の急性期・回復期・慢性期すべてに対応できる知識が満載です。
こんな理学療法士におすすめ!
- 病院・クリニック・訪問リハビリで膝患者を担当している方
- 「筋トレ」や「ストレッチ」だけでは痛みが取れないと悩んでいる方
- 膝関節の細かな評価・介入スキルを高めたい方
- 科学と臨床を融合した治療技術を身につけたい方
おすすめの読み方
忙しい臨床現場でも無理なく活かすために、こんな読み方をオススメします。
ステップ | 読み方 |
---|
1 | まず「序章」と「第1章」(膝痛の本質)を熟読する |
2 | 臨床でよく出会う症例(変形性膝関節症、術後リハなど)ページを重点的に読む |
3 | 疑問が出たときに、モビライゼーション・運動指導パートを辞書的に使う |
内容の目次まとめ版
本書は、実際の臨床現場に即した流れで構成されていて、
読むだけで「評価から介入」までのイメージが自然とつかめます!
以下、目次を簡潔にまとめました。
- 【第1章】 膝関節の基本運動学・解剖学の再確認
膝関節の特徴と複合運動 関節内圧、関節軟部組織の役割 膝蓋下脂肪体・滑膜ヒダの機能的意義 - 【第2章】 膝関節障害の発症メカニズム
立位・歩行時の荷重軸と膝障害 アライメント異常の影響 局所的負荷と疼痛発生メカニズム - 【第3章】 痛みの本質を見抜くための触診技術
圧痛の位置と鑑別 関節周囲組織の緊張・滑走障害の検出 膝関節滑液包・滑走機能のチェック方法 - 【第4章】 膝の痛みに対する機能的評価
動作分析(立位・歩行・階段昇降) 股関節・足関節との連動評価 膝関節可動域・筋力検査の実践 - 【第5章】 膝関節障害に対する治療戦略
痛みの原因に応じた介入プロトコル 軟部組織リリースと関節モビライゼーション 筋機能改善(内側広筋・ハムストリングスなど) - 【第6章】 代表的疾患別アプローチ
変形性膝関節症 膝蓋大腿関節症候群 靭帯損傷後の膝不安定症 半月板損傷と術後リハビリ - 【第7章】 ケーススタディによる実践応用
実際の患者例を通した治療過程紹介 評価から改善までの思考プロセス
人気章の詳しい紹介
特に現場の理学療法士に人気が高い章を、さらに詳しく解説します!
第2章:膝関節障害の発症メカニズム【超重要】
この章では、
「なぜ膝の特定部位に痛みが集中するのか?」を、荷重軸・身体の使い方から理論立てて解説しています。
膝外側痛
→股関節内旋・膝外反の関与 膝内側痛
→下肢アライメント(外反膝・内反膝)異常の影響 膝蓋骨下部痛
→膝伸展機構のズレと筋機能低下
単なる局所治療では限界がある!
→「身体全体の運動連鎖を診る目」が鍛えられる章です。
第5章:膝関節障害に対する治療戦略【すぐに使える!】
ここでは、
実際に園部先生が行う治療パターンが、プロトコル形式でまとめられています。
- 軟部組織リリース手技(特に脂肪体と関節包)
- 内側広筋トレーニング(タイミングと負荷設定)
- 荷重線修正エクササイズ(荷重コントロール再学習)
患者の「痛み」を「動き」から改善する具体的方法が多く、すぐ臨床に応用可能です!
第7章:ケーススタディによる実践応用【臨床推論が身につく】
実際の膝関節障害患者(例:70代女性・変形性膝関節症)を対象に、
評価 → 仮説立案 → 治療実施 → 再評価 という一連の流れを細かく追っていきます。
読み進めることで、
「臨床推論→治療展開」のリアルな感覚が身につきます。
コメント